子どもの歌–時代による変化

あれこれ

昭和30年代に初版として出版された「現代子ども名曲全集」のあとがきは、
作詞家の小林純一さんが書かれたもので、長文ですがとても読み応えがありました。

童謡を作っていらっしゃるのですが、その背景には、
いまを生きる子ども達のよりよい未来、
子どもが子どもらしく、しかし一人の人間として尊重され、
幸せであるためには、音楽はどうあるべきか
という深い深い考察が述べられています。

現在出版されている楽譜は、昭和40年代以降に出た新しい曲も
たくさん収録されており、「二訂 現代子どもの歌名曲全集」となっています。
私はまだ、そちらのあとがきは見ていないので、
初版本のそれと同じなのかどうか確認が取れていません。

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あとがきの中で、時代によって変化する子どもの歌について
書かれていた部分がとても興味深いものでした。
以下、●戦後の子どもの歌の歩み(2)の内容をまとめてみます。

<明治時代>
子どもは大人になる準備の段階である

(唱歌の目的)
子どもに大人の物の見方や考え方を教えよう

<大正時代>
子どもは天使である(と美化された時代)

(童謡という芸術が起こる)
子どもの世界を、美しい花園でも見るような目でながめた作品が作られる

<昭和前期>
(軍国時代)
子どもは人的資材

子どもをすべて国家と戦争に結びつけようとする軍歌調のものが作られる

<戦後>
子どもは社会の中の人格、対等な人格である

人間としての子どもの中にある行動や理智、あるいは感性が、客観的にとらえられている新しい子どもの歌が誕生する

ここでいう戦後、という時代は、この名曲全集が出版された、昭和30年代のことになります。
それ以降の時代での、それぞれの時代における子ども観、
子どもの歌の変遷についても調べたいと思います。
別の機会に、違う文献なども参考にしながら
いつか、2010年代までの現代までをまとめ、
時代が変わることで子どもへのまなざしがどのように変わり
音楽がどのように変わっていったのか
それらの時代や背景を感じることで、
歌う時にも参考にしていきたいと考えます。

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