きいている(谷川 俊太郎 作詞/谷川 賢作 作曲)

カワイ音楽教室の機関誌『音のゆうびん』の「こどものうた」のコーナーに2011年1月から2013年4月まで掲載されていた歌を、1冊にまとめたもの。親子だけでなく、みんなで一緒に歌いながら笑ってしまったり、ちょっとセンチメンタルな気分になったり...心がくすぐられる作品集。
「うんこ」から「きゅうしょく」までは、谷川親子による協同作品によるもの。全10曲。

KAWAI SHOPPING PLAZA 楽譜紹介より

俊太郎と賢作が贈るハッピーソングブック げんきにでてこい(カワイ出版)
から、歌いました。
多彩な曲が揃っています。
どの曲も歌えそうになるまで、しばらくかかりました。
詩も色々と考えさせられることがあるし
ピアノ伴奏も、パッと見てチャチャチャっと弾くわけにもいかなくて。
でも、しばし立ち止まって、考える時間がたくさんになることは
決して嫌なことではなく、
めんどくさいなぁというのでもなく、
それは、幸せな時間です。

みんなが結構気にしてしまう詩の一文があります。

あす みんなが だまりこむとき
きいている かみさまが

この一文がなぜだか、気になる人が多いみたいです。
ここだけ、他と違うって、すぐに思うみたいです。
ハッとする。
気になる。
引き込まれる。
というような、何かが際立っているようです。

神様がきいている(だまりこむ人間をどう思ってる?怒り?など)

みんながだまりこむ
という場面は、もしかしてシリアスかもしれないし、
そうではないかもしれないです。

ねこのひげの さきっちょで
きみのおへその おくで

なんと!!
神様はそんな場所に。
谷川俊太郎さんは、何かを仕掛けたのかもしれないです。

Japanese Kids Songsでは「ねこのひげ」、「おへそ」の部分から
逆戻りして、みんながだまりこむ場面を考えました。

きいている かみさまが

の先がもし、「ねこのひげのさきっちょ」、「きみのおへそ」 
ではなかったら。
ここはとても、落差のある言葉が並んでいて
面白いし、混乱するし、
少し、裏切られる感じもします。
でも、そこがよい、そこが好き、とも感じます。

「だまりこむ」 「みんな」 を 「かみさま」 が 「きいている」

一体、どんな場面なんでしょうか。

Photo by Liam Burnett-Blue on Unsplash

日本の電車の写真は、だまりこむみんなが勢ぞろいしていて
詩の解釈において、それは当たりでも外れでもないだろう
「だまりこむ」という行為のそのままの姿としてフィットすると思い、
だから選びました。

だまりこむ人間を、神様は怒っているのかもしれないけど
怒っているということは、どこにも書かれていません。
怒っているという答えを提示するように、
画像を選んでしまって、それを視覚的に訴えるのは違う気がしました。
または、公共の場で、一切のものを遮断して
スマホの中にだけ没頭する人間の姿、
その姿は、いろんな意味合いを持たせることが出来るかもしれない、
もちろん神様の怒りもそこにはあるかもしれないし
ないかもしれない。

電車の中吊り広告に、書籍の広告があります。
「君たちはどう生きるか」の黄色い広告が下がっているのです。
このお写真は、海外のフォトグラファーさんが撮影されたものなので、
沈黙し、スマホに没頭する人々と、「君たちはどう生きるか」の対比は
偶然のものだと思います。
そして、「きいている」を歌い、だまりこむ みんなの姿を探している私。
いくつもの偶然の重なりと出会いは、とても面白かったです。

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