6年生音楽「星の世界」で、三部合唱にチャレンジする

歌い方のコツ

教育芸術社の教科書、「小学生の音楽6」の中で、
三部合唱になっている曲が2曲、「星の世界」と「ふるさと」があります。
合唱は、声部が多くなることでハモる楽しさと、つられて歌えなくなる苦悩・・・
というのがありますが
ここでは、6年生で三部合唱を楽しむためのコツを考えていきたいと思います。

一曲目の「星の世界」です。


この曲は、賛美歌「いつくしみふかき」のメロディーに
川路柳虹氏が、新たに詩をつけたものになっています。
三部のハーモニーの美しさを味わうのに、最初に取り組む曲がこの曲
というのは、本当によく考えが練られているなあと感じました。

さて、パートわけをする際、どのような点に気をつけて行うべきでしょうか?

三部合唱を成功させるには、縁の下の力持ちさん達の潜在能力を引き出さなくてはいけないですよね。
メロディー担当だったら、どのパートにもつられないで、のびのび歌えるのに・・・
という思いを抱いてしまう場合もあると思います。
ハーモニー担当になることにより、サポートすることの中で見出すことができる楽しさや、
一緒に作っていくこと、その過程を楽しむことで得られる新たな感覚など
ひとりで歌うことと、みんなでハーモニーを作ることの間には全く異なる「新しい世界・感覚」があります。
よく歌える人ばかりをメロディー担当にしてしまうと、
ハーモニーが手薄になって、おまけ扱いになってしまいます。
メロディーなら、なんとか歌えるよ!という、まわりの音を聴く力が少し弱いけれど・・・
というお子さんも、メロディー担当の中に入れてあげるのもよいかな、と考えます。
そのようなタイプのお子さんには「楽しく、主体的に歌えること」を達成できるように
また、よく歌えるタイプのお子さんには、もう一つ踏み込んだ目標として
「みんなで達成していくことの喜び」を見出せるように、
到達度がバラバラなお子さんたちが、ひとりひとり喜びを持って歌えるような
そんな目標と、環境作りを工夫していきたいです。

私が、深く感銘を受けた合唱指導の先生は、合唱することを山登りに例えていました。
「誰ひとり、置いてきぼりにせず、全員で頂上を目指すよ。
僕は、誰のことも、置いていかない。
合唱、ちょっと苦手だなーという人も、いていいんだよ。
あなたはそれでいい。
一方で、このくらいの山なら余裕で登れるよ、という人は
どうかぜひ、ちょっと苦手なんだよなぁ、と心配している人に
手を差し伸べてあげて欲しい。
みんなで一つのチーム、このチームで頂上を目指して
必ず登頂するんだ!という気持ちでサポートしてあげて欲しいんだ」

この感覚があると、クラスが一つのチームとしてうまくまとまりそうですよね!

6年生になると、男子生徒さんの中には声変わりが始まって
高い声が出づらい、
頭声発声(裏声)がかすれてしまって出にくい、
という生徒さんもいるかと思います。
なんとなくの歌いにくさを、自分の中にひっそりとしまって
先生や友達に対して、そのことを堂々と表明するということはないかもしれません。
そっとしておいてほしい気持ちも理解してあげたいです。
とても繊細な、微妙な年齢と体の変化が始まっている頃なので
そのこともわかってあげたいとは思いつつ、
クラスでの合唱が盛り下がってしまうのは、なんとか避けたいです。。。

私は女性ですが、変声期男子用の動画のために、低い音で歌ってみた動画がこちらです。
メロディーパートではなく、②パートを一オクターブ下げて歌ってみよう、
教科書に小さく書いてありますが、それを実践してみました。
背が高くなって、声が低くなってきた男子生徒さんはクラスでどのくらいの人数になっているでしょうか。
1人、2人だと、心細すぎるので、
ちょっと無理しても、裏声でみんなに混ざって歌いたいという気持ちになるかもしれません。
4〜5人ほど、低い音の②パートを担当できそうな生徒さんがいたら
ぜひ、この練習動画を使って、低い声の②パートを歌っていただきたいと思います。
深刻にならなくてもよいような気がします。
雰囲気にもよりますが、ノリで低い声、試してみた!のような軽やかさで
②パートを1オクターブ低い音で仕上げると、最終的に、ハーモニーが途端に重厚な感じになって
クラス全体で歌ってみると、低いこえがあるとないとでは全然違うこと、
低い声に支えられたハーモニーってこんな感じか!
「おおお〜〜〜!!」という新鮮な驚きと感動が生まれるかと思います。
そんな驚きと感動が、あちらこちらで生まれるといいなと願っております!

③パートの練習動画はこちらです。

③パートは同じ音の連続が多くて、動きが少ないため、少し地味なんですが
聴く耳と、他のパートをサポートする力がつきます。
このサポートする力がつく、というのが、合唱をする楽しさとメリットです。
集団の中で自分を生かしながら、全体のことを考え、みんなで成長していくことの喜びが得られるからです。
私の理想というか、これは願いなのですが
がんばって練習した先にそれらを得ることができる、のではなく
音楽が美しくて、その美しさと感動の中から、自然な形で集団の中の自分を感じ、
みんなで成長していく喜びが感じられる、という
音楽だからなし得ること、その部分を大事にしていきたいです。

そうは言いつつ、なかなかつられてばかりでハモりづらいんだよね、ということが
あるかもしれませんよね。
練習動画は、何パターンにも作りました!

こちらは②パートと③パートの音を重ねたバージョンです。


こういう練習も、もし地味になりすぎなければ
生徒さんのやる気、モチベーションを下げるようなことにならなければ、
曲のディテールがはっきりしてくるので、やっていく方がよいと思います。
メロディー抜きでの練習です。
退屈しちゃわない工夫が、少し必要かもしれません。

この動画をカラオケ音源のように扱って
みんなでメロディーだけ歌ってみる、
メロディーだけを歌うけど、ハーモニーを感じる練習をしてみる、
ということにも使うことができます。

いろんな形で練習動画を出しましたので、
自由に様々な使い方で、楽しんでいただければと思います。

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